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ROBOLAW.ASIA Research

ソーシャル・ロボティクス

example graphic 図1:ソーシャルロボティクスVS古典的ロボティクス

技術が発達して、サービスロボットを人間社会へ取り込む需要が高まるにつれて、 ソーシャル・ロボティクス というものが、人間とロボットの共存 (Human-Robot-Coexistence)研究における有望な分野となりつつあります。私たちはこの問題領域を、ロボットの社会性に関する問題 (Robot Sociability Problems) と呼ぶことができるでしょう。この領域が対象としているのは、ロボットが人間社会へますます組み込まれていくとき、他分野の問題群と隣接ないし結合しうる、そのような問題系列です。
社会性とは、社会的になりうるかあるいは現に社会的であるようなスキル、傾向ないし属性のことです。言い換えれば、他の人々とうまく相互関係を築き合えるスキル、傾向ないし属性です。この能力は、人間にとって非常に大切なものですが、人間の社会性と比べて、ロボットの社会性は明らかに人工的であり、そしてそれゆえに、人間とロボットのあいだの物的関係および人的関係は、総じて人間の側がコントロールすることになります。ロボットの社会性をデザインすることは、2つの観点に分けられます。第一の観点は、ミクロなパースペクティブ、つまり、人間とロボットとの相関関係です。このミクロなパースペクティブは、人間とロボットのあいだの日常的な相関関係において暗黙のうちに置かれている、さまざまなルールをカバーしています。例えば、人間の生活圏内にいるサービスロボットにとって大切なことは、相隣関係を理解すること、つまり、さまざまな人物やさまざまな状況に応じて、そこから適切な距離を取る方法を理解することです。第二の観点は、マクロなパースペクティブです。そこでの目標は、自動ロボットに対して、いかなる種類の倫理、政策および法を適用しうるかを決定することにあります。これを、ソーシャル・システム・デザインと言います。社会性のあるAI ロボットが人間社会に浸透するにあたって、倫理的・法的要素を彼らの設計プロセスへと組み入れる強い需要が発生することでしょう。AI ロボットは一方で、道徳的な義務に鑑みて、人間の中心的な価値システムから遠ざけられねばなりません。規制する側は他方で、これに対応するソーシャル・システムのデザインを考案しなければなりません。これは、AI ロボットが人間の生活圏内で日常的な相関関係を築くことをサポートするためです。したがって、私たちは、AI ロボットのデザインについて考える学際的な手法を必要とすることになるでしょう。
ソーシャル・ロボティクスにおける私たちの専門的な関心は、人間—ロボットの相関関係とソーシャル・システム・デザインとのあいだにある、横断領域を調査することです(図1)。例えば、次のようなことが精査の対象になりえます。どのようにすれば、ロボットをより社会適合的なものにしうるのか。サービスロボットは、さまざまな社会における公共の"社会的受容性" (Social Acceptance) iに照らして、どのように受け入れられていくのか。アシモフのロボット三原則は、人間とロボットの安全な相関関係を保証する"安全知能" (Safety Intelligence) の実現にとって、適切な解決策なのか。人間とロボットの相関関係にかかわるルールや規範について議論するにあたって、文化的な背景をどのように考慮すべきなのか。

example graphic 図2:Peccioli RoboTown :現実の小都市の中にある上級ロボットシステム実験用のオープンフレームワーク

Contribution:

01. Rafael Capurro and Yueh-Hsuan Weng (2016) Quest for Roboethics: An interview with Prof. Rafael Capurro, TECH and LAW Center & Robohub [LINK]
02. Ronald C. Arkin and Yueh-Hsuan Weng (2016) Technical challenges in machine ethics, TECH and LAW Center & Robohub [LINK]
03. Joanna Bryson and Yueh-Hsuan Weng (2016) How do we regulate robo-morality?, TECH and LAW Center & Robohub [LINK]
04. Hiroko Kamide and Yueh-Hsuan Weng (2016) One being for two origins: A new perspective on roboethics, TECH and LAW Center & Robohub [LINK]
05. Yi-Wei Keng and Yueh-Hsuan Weng (2016) When robots become art: Interview with Yi-Wei Keng, TECH and LAW Center & Robohub [LINK]
06. Yueh-Hsuan Weng (2010) Beyond Robot Ethics: On a Legislative Consortium for Social Robotics, Advanced Robotics, Vol. 24, No. 13, Page 1919-1926, Leiden: VSP-BRILL [PDF]
07. Yueh-Hsuan Weng, Chien-Hsun Chen and Cheun-Tsai Sun (2009) Toward The Human-Robot Co-Existence Society: On Safety Intelligence for Next Generation Robots, International Journal of Social Robotics, Vol.1, No.4, Page 267-282, Springer Netherlands [PDF]
08. Yueh-Hsuan Weng, Chien-Hsun Chen and Cheun-Tsai Sun (2008) Safety Intelligence and Legal Machine Language-Do we need the Three Laws of Robotics?, Y. Takahashi (Ed.) in Service Robot Applications, Vienna: I -Tech Education & Publishing KG [PDF]

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